【続編】国際バカロレア(IB)MYP・DP認定校 開智日本橋学園中学・高等学校でのTOEFL® の活用と実践的な英語の学びについて
TOEFL Primary®・TOEFL Junior®・TOEFL iBT® 体験レポート

開智日本橋学園中学・高等学校は、国際バカロレア(以下、IB)のMYP(Middle Years Program)およびDP(Diploma Program)の認定校として、IBのプログラムを取り入れた教育を行っています。2017年から国際コースの中学1年生、2年生を対象にTOEFL Primary® とTOEFL Junior®を実施し、その後、高校1年生になった生徒がTOEFL iBT® に挑戦しています。2017年には、生徒さんから受験した感想や、先生から生徒に習得してほしい力や学校が目指す生徒像などについてGC&Tウェブサイトへ掲載させていただきました。当時中学2年生だった2名の生徒さんは、現在高校3年生となり、将来の夢に向かって進まれています。今回は、前回に続いての2名の高校3年生の生徒さんと、2名の中学3年生の生徒さんに試験を受けた感想や将来の夢を、また、副校長の近藤健志先生と英語科主任の木塚誉貴先生に、英語教育の取り組みや生徒への想いを伺いました。

■試験を受けた感想と将来の夢

古家 詩音くん(中学3年:中学2年時より TOEFL Primary® を受験)
中学2年時 TOEFL Primary®Step2 223

 中学2年生で初めてTOEFL Primary® のStep2を受験した時は、リーディングの問題量が想像以上に多くて時間が足りませんでした。英語を聞き取ることや英語の文章を読むことは、普段からネイティブの先生の英語を聞いたり、ホームルームや美術などの授業を英語で受けたりしているので、比較的スラスラできました。次回は、問題を解くペース配分をしっかり意識して、スピード感を持って解いていきたいと思います。今後の目標は、TOEFL Junior® やTOEFL iBT® でCEFRのB2レベルを達成し、DPコースへ進むことです。
 また、僕は小学生の頃からBMX(自転車競技)の世界大会に出場しているため、海外で英語を使うチャンスがあります。実は、小学生の頃にオーストラリアの選手と友達になったのですが、当時は英語が話せずジェスチャーやアイコンタクトだけのコミュニケーションでした。今度会った時は、これまで学んできたことを活かして英語でお互いのことを話したいと思っています。成長した姿を見せられると思うと、今からとても楽しみです。将来は、海外の大学へ進学することにも興味があります。データ分析やAIなどの分野を学んで、BMXのトレーニングや後輩を指導する時に活用したいと思います。

下田 紗羅さん(中学3年:中学2年時より TOEFL Primary® 受験、中学2年の終わりにTOEFL Junior® 受験)
中学2年時 TOEFL Junior®Standard 800

 私は、国際コースのDLC(Dual Language Class)に在籍していますが、日頃から、帰国子女やネイティブ並みに英語ができるGLC(Global Leading Class)の生徒ともよく会話をしています。そのため、リスニングに関しては全く抵抗なく取り組むことができました。ただリーディングは、一つ一つ着実に進めなければと思ってしまい、全てを時間以内に解き終えることができませんでした。その反省を活かして、最近は洋書をたくさん読むようにしています。洋書を読む習慣をつけることで、読むスピードや理解力を鍛えています。今後は、TOEFL iBT® にも挑戦し、DPコースへ進めるように頑張りたいです。
 将来は、映画監督になりたいです。その夢をかなえるために邦画だけではなく、英語で撮られた洋画をよく観ています。洋画作品は、いろいろな視点で撮られた作品が多いのでとても勉強になります。その中で、日本語字幕だとニュアンスが異なったり、自分がまだ気づくことができなくても、実は深い意味が隠されていたりする場面もあると思います。映画に関する知識や理解力を深めていくためにも、TOEFL® テストを活用して、さらに英語力を高めていきたいです。

安齋 洸くん(高校3年:中学2年時にTOEFL Junior® 受験、高校1年時にTOEFL iBT® 受験)
中学2年時TOEFL Junior® Standard  695 → 800
高校1年時TOEFL iBT® 61

 TOEFL Junior® を最初に受けた時、リーディングの英語の文章中に自分の知らないアカデミックな単語が出てきました。何度も繰り返し出てくるので、重要な単語なのだと気づき、それをきっかけにアカデミックな文章を意識して読んだり、書いたりするようにして、勉強の仕方も変えていきました。TOEFL®は、テストを受けるたびに新しい気づきがあるので、挑戦すれば必ず得るものがあります。英語を学んでいくなかでは、いろいろな壁にぶつかりますが、その都度、どうしたらいいかを考えて、行動していくことが大切だと学びました。
 現在は、大学の受験勉強の真っ最中です。自分の弱点とも向き合わなければならない時期なので、毎日葛藤しながら過ごしています。でも、周りにいる先生たちが、相談に乗ってくれたり、助言をくれたりと、いつも温かく見守ってくれているので、それが後押しとなります。英語は他教科に比べて、成績が安定している教科なので、英語を軸にして自信を持って大学受験に臨みたいです。進学にあたっては、言語学系か体育系の学部を目指しています。英語以外の言語にも興味が広がり、ロシア語やモンゴル語、タイ語も学んでみたいと思っています。大学でもTOEFL® を活用して英語力を磨き、今まで学んだことを活かして留学もしたいと考えています。

川尻 慧子さん(高校3年:中学2年時にTOEFL Primary®・TOEFL Junior® 受験、中学3年、高校1年でTOEFL iBT® 受験)
中学2年時 TOEFL Junior® Standard  815 → 840
高校1年時TOEFL iBT® 100

 中学3年生の時にTOEFL iBT® を2回受けましたが、スコアは伸びませんでした。その後、中学3年生の終わりから高校1年生にかけて9カ月間、オーストラリアへ留学しました。留学先で、再びTOEFL iBT® に挑戦した結果、スコアが飛躍的に伸びました。日本とは異なる環境のもと、いろいろなプレッシャーを抱えていましたが、「絶対に目標を達成するんだ」という覚悟を持って臨むことができたからだと思います。もちろんスコアを取ることも重要ですが、それ以上にTOEFL® は、内容が興味深いものばかりなので楽しみながら問題に向き合うことができます。
 例えば、初めて中学2年生でTOEFL Junior® を受けた時も、好きな海の生物の話が出てきて、ワクワクしながら解いたことを覚えています。私自身、当時から動物の生態に興味があったので、自然科学をテーマとした問題は、特に面白いと感じています。将来は、まだ漠然としていますが、“動物を守る”という観点から、環境問題に取り組む活動をしてみたいです。国連などの国際的な仕事に興味があります。そのためには、まず希望の大学に合格することが今の目標です。動物行動学や農学などの分野を目指し、国内だけではなく海外の大学も受験しようと考えています。

■副校長・近藤健志先生 インタビュー

Q:TOEFL Junior®、TOEFL Primary®、TOEFL iBT® を導入した経緯を教えてください。 

 本校が取り組むIBのプログラムでは、最初に学習目標を立てて、そこに到達するために何が必要なのか、どんな授業をしたらいいのかを考えていきます。習熟度をしっかり分けて進めていくことが重要視されるため、生徒一人一人の到達度を確認していくための質の高い試験が必要不可欠でした。検討を重ねた結果、グローバルな基準でCEFRが出せて、4つのアカデミックな英語スキル(Reading、Listening、Speaking、Writing)を正確に測定できるのはTOEFL® しかないと判断しました。そこで、TOEFL Primary®、TOEFL Junior®、TOEFL iBT® の全てを導入することになったのです。各学年の到達目標をCEFRで数値化し、「中学1年でCEFRのA1~A2、中学2年でA2~B1、中学3年でB1~B2、高校1年でB2レベルに到達することが目標:DPに進級するためには4技能すべてB2に到達すること」という仕組みを作ったことが大きいと思います。「使える英語」を身につけるために、マインドセットをどこに持っていくかが重要です。なかには、アカデミックなTOEFL ® の試験内容に興味を持って、楽しみながら取り組む生徒もいます。TOEFL® を活用することで、授業を構成する教員も生徒も同じ方向を向いて前に進むことができていると感じます。

Q:「使える英語」を身につけるために、取り組んでいることや大切にしていることは何ですか?

 本校では、多様な国のネイティブやバイリンガルの先生が全教員の30%を占めています。まず、本校が意識した取り組みの一つは、「英語の先生は、英語で話す」ということです。一見、当たり前のことなのですが、日本の英語教育で問題視されてきた部分でもあり、そこが間違っているとどうにもならない。私も、英語科主任の木塚先生も学校では全て英語で会話をしています。国際コースでは、英語の授業はもちろんのこと、ホームルーム、技術・家庭・社会の一部、美術・総合などの授業を英語で実施しています。実技教科を英語で取り組むことによって、英語を「学ぶ対象」から「コミュニケーションツール」へと意識を変えることを目的としています。いかに日常生活の中で、生徒が英語を主要言語にしてコミュニケーションを取っていくかを大切にしています。

Q:貴校の英語教育における今後の展望を教えてください。

 現在は、1学年6クラス中の2クラスがIB教育を受けていますが、次年度中1からは全学年に広げていきたいと考えています。1期生の生徒が卒業後、大学へ進学してからもTOEFL iBT® を受け続けている学生もおり、成果をあげています。前回のインタビューに応じた卒業生の1人はIBで学ぶ批判的思考力をTOEFL® の受験を通しても伸ばしていき、上智大学へと進学しました。また、海外の大学に合格する生徒、希望する生徒も増えています。
当初、「高校1年生までに4つのスキルでB2を達成する」という目標を掲げた時は、ハードルが高すぎるという意見もありました。でも、4年目を迎えた今、実際にクリアした生徒も多く、「生徒たちはその気になってやればできる」ということを改めて実感しています。そのためには、やはり習熟度を確認するための試験が必要で、今後もTOEFL® を活用して、全校生徒にアカデミックな英語を学ぶ機会を増やしていきたいと考えています。生徒には、物事の本質を見抜く力を身につけると同時に、自分の考えを、根拠を持って発信できる人材に育ってほしいと願っています。

■英語科主任・木塚誉貴先生 インタビュー

Q:貴校が英語教育で目指していること、それを実現するためにどのような工夫をしていますか?

本校では、先生から一方的に教わる「講義型」の学びではなく、生徒が能動的に問いを立てながら学ぶことに重点を置いた「探究型」の学びを実践しています。さまざまな場面で、英語をツールとして活用しながら、英語で考え、議論し、コミュニケーションを取ることによって「思考」を深めていくことを目指します。ネイティブやバイリンガルの先生が多数揃っているので、日常的に英語を聞く、話す環境があることはもちろん、英語で思考するための意識づけや習慣づけをするために、いろいろな仕掛けをしています。その一つに、朝の時間の「多読」の活動があります。中学1年生から中学3年生までの間に、抵抗なく洋書が読める習慣を身につけることを目的としていますが、その仕掛けとして幅広いジャンルの洋書を積んだブックカートを用意しています。日常の中に、洋書を手にするきっかけとなる「場」を作ることで、「本が読みたい」と思った生徒は、自然と休み時間になるとカートの周りに集まってくるようになります。その積み重ねが、TOEFL® のリーディングの試験にも必ず活きてきます。

 TOEFL Primary® Step 1・Step 2 およびTOEFL Junior® Standard のリーディングセクションのスコアからは、Lexile®指数(英語の「読解力」と「文章の難易度」を表す指標)が算出されます。Lexile®指数が分かると、能力と興味に応じた英語書籍や記事を検索することができます。

Q: TOEFL Primary®、TOEFL Junior® の試験を活用することに対して、保護者はどのような理解を示していますか?

 本校の英語教育では、日常生活の中で、いかに英語で思考し、コミュニケーションを取れるようになるかという部分を大事にしています。日頃の学びをベースにその成果を発揮する場としてTOEFL Primary®、TOEFL Junior® の試験に取り組んでいます。生徒に話を聞くと、家庭内でも「高校1年生の終わりまでにB2を目指して、DPコースに進むためにはどうしたらいい?」という話題が出るそうです。TOEFL® のスコアは、自分の現時点の英語力を確認する指標となるので、生徒にとっても保護者にとっても英語学習の方向づけやモチベーションにつながっていると思います。
また、TOEFL® のハイスコア取得者には賞状が送られますので、他の生徒のモチベーション向上を狙い、全校集会で表彰するなど生徒の前で渡すようにしています。たとえば私のクラスでは、本人の了承を得た上で、渡したあとにクラスの生徒の前で結果や感想を聞くことがあります。
 最近は、三者面談でも、保護者から「TOEFL® に向けてどのような英語学習をしていけばいいでしょうか?」という質問を積極的にいただくことが多くなりました。以前に比べて、CEFRについても認知されてきていますので、保護者の間でも、TOEFL® の試験が中学・高校教育の中で必要なエッセンスの一つとしてご理解いただけていると感じます。

Q:今後、生徒にはどのように育ってほしいとお考えですか?

 「英語力の習得そのものが目的ではなく、英語を使って何かを成し遂げる人」になってほしいと思います。「英語を使える」とはどういうことかというと、世界中の多様な人たちとコミュニケーションを取る時に、英語が障害にならないということです。生徒は一人ひとりが、いろいろな夢を持っています。「海外の大学へ行きたい」「アカデミックな道に進みたい」「世界で活躍したい」と思った時に、英語が理由で断念することになってほしくありません。ホームルームをはじめ、生徒から相談を受ける時、生徒とメールでやり取りする時なども英語を使うことを徹底しています。生徒と接していて感じることは、「英語で言いたいけど、言えない。でもそこを頑張って言おうとすること」が成長するために大事だということです。目の前の小さな壁を逃げずに乗り越えていくことで、英語に対する意識も英語力も変わっていきます。生徒たちには、英語を自分の武器として活用しながら、国際的に活躍できる人材に育ってほしいと願っています。

開智日本橋学園中学・高等学校
http://www.kng.ed.jp/

〒103-8384
東京都中央区日本橋馬喰町2-7-6
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