上智大学言語学部特任教授 言語教育研究センター長 吉田研作先生インタビュー

導入事例2015.06.11
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吉田研作先生

Q:今回の6月公開テストでは多くの小学生・中学生の皆さんがTOEFL Primary®を受験します。生徒さんと、おうちの方へのアドバイスをお願いいたします。

吉田先生:TOEFL Primary®は、世界中で使われているテストです。テストを通して英語を使われている国での生活や学校の様子がわかるのも特徴です。「テストを受ける限りは、できるだけ高いスコアを取ろう」とか考えがちですが、はじめてのTOEFL Primary®受験の際は、どれだけスコアを取るかということよりも、テストの文章やリスニングの内容から異文化体験ができることを楽しみながら受けられるといいと思います。その「異文化」の中で、どれだけ自分の英語力が通用するかを見られればいいと思います。2回目以降の受験のときには、1回目の結果を踏まえ、日頃どんな風に取り組めばよいかを考え、次の目標を持てればよいですね。
そもそもテストは自分の力を試しながらも、楽しいものでなければいけない、と考えます。TOEFL Primary®の受験を通して、英語学習のモティベーションが上がること、子どもたちがテストを通して「こんな風なことを学べた」「海外に行きたくなった」「もっと英語を勉強してみたくなった」という気持ちになれることが大切です。

保護者の方も「どれぐらい取れたの?」「もっとスコアを上げるために勉強しなさい」というのではなく、問題集などを一緒に解いてもらいたいと思います。本当は、一緒にテストを受験できればいいですが。そうすると「子どもたちが取り組んでいるのはこういうものなんだ」という理解ができます。そうなると「この問題にはこんな風に書いてあるけれど、こんなに生活が違うんだね、面白いね」「ここは日本と似ているね」と親子で語り合うことができます。そういうことの積み重ねが子どもたちのさらなる異文化や、英語という言語そのものへの興味に結び付くと思いますよ。

Q:現在、日本全体で英語教育の改革が進んでいます。その中で、小学生のうちから英語に触れたり、英語を学習する意義を教えてください。

吉田先生:今は社会全体で「グローバル化」という言葉が標語のようになっています。世界の人たちと情報を交換し、課題を解決する必要性が日に日に高まっています。例えば上智大学でもさらなるグローバル化を目指し、日本だけではなく世界中から学生が集まってくるような大学になるために、様々な取り組みをしています。
これからの時代で生きていくには、「英語」に限らず「言語」を知識として知っているのではなく、それを使って何ができるか?ということが問われます。文部科学省の学習指導要領にある「言語活動の充実」についての記載の中でも、課題を解決するために必要な「思考力」「判断力」「表現力」を育てることが大事だと謳われるようになりました。
これからの時代を生きていく子どもたちには、世界の人たちと交流していくためにも、交渉や議論ができるレベルの英語力を身につけることが大切です。そのためにも、小さいうちから英語に取り組む時には、まずは「楽しく」そして「興味を伸ばす」ことを大切にしてもらいたい。単に「文法知識を一つ一つ覚える」という学習の仕方ではなく「英語を使うとどんなことができるのか?」という問題意識を持ちながら「英語を使ってこんなことをしてみたい」という目標を持ち、中学・高校と学んでいく、そんな学習をしてもらいたいと願っています。
そのためにも、保護者の方も傍観者ではなく、ご家庭の中で一緒に英語を楽しんでいただきたいですね。

Q:ご家庭で一緒に英語を楽しんでもらう工夫やアドバイスはありますか?

吉田先生:例えば、TOEFL Primary®を受験すると、Lexile®指数という読解力の指数が出てきて、この指数を使い、自分に合った英語の本を選ぶことができます。けれども最初から「英語の本を読みなさい!」といって本を買って与えても、読みませんね。まずは保護者の方が読んで聞かせるところからスタートです。「発音が下手だから」「知らない単語が出てきたら」と心配される保護者の方もいますが、「保護者の方と一緒」というのが、子どもたちにとって一番大切です。発音など気にせず、知らない単語があったら一緒に調べて楽しめればいいのです。「本を読むのが大変」と思うのであれば、子どもたちと一緒に英語の歌を歌うことも、家庭の中でできる簡単で効果的な方法です。
家庭の中でも日常的に英語に楽しく触れる工夫があれば、子どもたちはさらに「英語って楽しいな」と思い、自分から英語をもっと学んでみたい、と次の目標を持って学習できるようになります。それこそがグローバルに活躍できる人材への第一歩だと考えています。