英語は相手に通じるから楽しい 楽しむためのツールとしてTOEFL Primary® を活用(山梨学院小学校/山梨県)

2020年11月18日作成

山梨学院小学校(山梨県甲府市)は山梨学院大学附属の小学校として2004年4月創設されました。時代の変化に対応するグローバルな学力の育成へ向け、科目の垣根を取り払った10の領域による学力の枠組み設定、ティームティ―チングや教員の専科制の導入、放課後の学びの場であるトワイライトスクール運営など様々な特徴をもつ同校は、2019年には系列幼稚園と共に国際バカロレアの初等教育プログラム(PYP)認定校に選ばれ、英語教育にも力を入れています。
2016年に導入を開始したTOEFL Primary® は、小6の全員が受験、小学校の間にどこまで英語力を習得したか測定するひとつのバロメーターとして継続的に活用されています。
瀬端淳一郎校長、英語領域主任の鈴木尚美教諭に学校の教育方針、英語教育への思いをうかがいました。

山梨学院小学校の教育方針、特徴をお教えください。

瀬端校長:本校は教育目標として、自律(autonomy)思考(consideration)表現(expression)共生(coexistence)の4つを掲げています。この目標に向けて、個々の児童の得意分野を伸ばすことで成長を促し、グローバルな学力を身に付けるカリキュラムを設定しているのが特徴と言えるでしょう。得意分野を伸ばすための窓口と位置づけているのが8つのコンセプト、すなわち基礎学力形成、異文化理解、社会認識、環境教育、感性の形成、身体教育、モラルの形成、そしてメディア・リテラシー教育です。
グローバルな学力とは、コミュニケーションの能力だけでなく、教育目標にある「自律」の体現、たとえば自分でアイデアを出したり、ものを作り上げたりしていく力も含めた、包括的な捉え方をしています。知的探求心に満ち、自ら判断し行動していく力を基本に、グローバル社会で活躍していける人材の育成へ向けたさまざまなカリキュラムを編成しています。とりわけ重視しているのが、子どもの強みを生かすアプローチです。たとえば、身体的な活動が得意な子、芸術センスが豊かな子、空間認知に長けている子など、それぞれにとって効果的な働きかけがあり、そこを窓口にして強みを伸ばして自信を育んでいくという考え方です。
また、子どもたち同士の学び合いも成長における重要な要素だと考えます。先生から教えてもらうだけでなく、生徒が互いの得意なこと、苦手なことを補完し合いながら、課題を達成していくような環境づくりにも力を入れ、探求的な学びの経験が積み重ねられるようにしているのです。

英語教育はどのような方針で取り組まれていますか。

瀬端淳一郎校長(右)と英語領域主任の鈴木尚美教諭(左)
鈴木教諭:基本的な会話ができることが教育目標の一つです。学校生活での表現、家庭での表現、そして社会生活に必要な表現の習得がベースですね。それらに加えて、スピーチで自分の意見を述べることができる力を育てることを目標に、伝える力の習得を重視しています。具体的には日々の学校生活の環境づくりを大切にしています。英語の授業はネイティブスピーカーの教員が複数関わる形態で、指示は英語を基本としています。間違いを恐れずにとにかく英語で話すことを促し、その環境に慣れさせることも大切にしています。“How are you?”と問われれば “I’m fine.”と返す、といった決まり文句のやり取りのレベルではなく、簡単でもいいので今の自分の状態を相手に伝えるようにと促しています。とにかく聞いて、自分なりに伝えてみる、という経験の積み重ねを通して、子どもたちは、英語は暗記ではなくて使うもの、という意識が育ってきます。
瀬端校長:そのようにして英語を使うことが当たり前になり学年が上がってくると、今度は「英語を」学ぶ、から「英語で」学ぶ、へとステップアップをしていくようになります。高学年では語彙が増えてきますので、たとえば算数の内容を英語で学ぶといった授業を行います。そのような、英語で学ぶカリキュラムの整備が、国際バカロレア校として認められた証左だと受け止めています。
「相手に通じる」この喜びが英語の楽しさです。
相手に伝わった、という成功体験が、もっとがんばろうというモチベーションにつながり、そこにプラスのスパイラルが生まれます。このことは英語教育において非常に重要な要素ですので、自信をつける教育を実践しています。

英語教育で工夫されていることは?

鈴木教諭:子どもたち同士が学び合い、高め合う場としてグループワークやペアワークを積極的に授業に取り入れています。指定した語彙を使って劇をつくる、といった課題など、楽しみながら協力して作り上げるものを設定することが工夫のポイントですね。表現が得意な子、考えるのが得意な子など、メンバーの持ち味を生かしてお互いの良いところを吸収できる機会になります。
インプットは発達段階に応じて、フラッシュカードも活用しています。また、曜日など覚えてしまうしかないような語彙や表現は、独自に作った歌を通して習得させていますが、大変効果的で一度覚えてしまったものはメロディーとともに定着してしまうようです。本校の特徴的な学び方の一つと言えるでしょう。

TOEFL Primary® テストをどのように活用されていますか。

鈴木教諭:系列校である山梨学院中学校でTOEFL Junior® を活用していること、英語教育の小中接続推進にもつながるということから、小学生も受験できるTOEFL Primary® を導入しました。2016年から継続的に小6生全員が受験をしています。世界基準で英語力を測定することができるというTOEFL Primary® の特徴が、本校の英語教育との合致点でした。英語を使ってみる体験を重ねて英語力を伸ばしてきた子どもたちが、小学校の6年間でどこまでできるようになったのか、それをグローバルな尺度で試してみることができるテストだと思っています。
TOEFL Primary® のテスト問題には、生活の身近な話題が盛り込まれていて、生徒の発達段階に適切ですし、日常的な学校生活や家庭で使われる表現が豊富で、本校の学習シーンと重なる部分が多いですね。子どもたちにとって親しみのある表現を使って英語力を測ることができるので、「ここまでできた!」という手応えも大きいようです。スコアに応じて星やバッジによる世界ランクで評価されるのも子どもたちには励みになっています。
指導する側にとっては、目指している目標の力をつけることができているかどうか、振り返る機会になります。例えば、リスニングが全体的に良い結果を収めているので、日頃の指導方針に間違いがないということが確認できます。

今後の英語教育の展望をお聞かせください。

瀬端校長:英語に親しむことを大切に、英語の楽しさを実感する小学校6年間にしたいと考えています。学べば学ぶほどわかることが増え、楽しさが実感できる、それが英語の魅力です。たとえばTOEFL Primary® のスコアの変化にも、英語を学ぶ楽しさが反映されてきますから、英語を楽しむためのツールとしてこのテストを活用していきたいですね。自分の得意なことを伸ばし、自己肯定感に裏付けられた積極性や、相手の得意なことに気づいてお互いを認め合い助け合う関係性を、英語教育を通じてもしっかりと育んでいきたいと思います。

山梨学院小学校についてはこちら
https://www.yges.ed.jp/

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