一緒にチャレンジすることで、親と子が対話しながら成長できる AEA代表理事 赤井由紀子さん

2022年1月28日作成

NPO法人AEA(All Education Academy)を主宰する赤井由紀子さんは、”教育は社会を変える小さなプロジェクト”を理念に、世界のどこでも生き抜く力のある子どもたちの育成に力を注いでいます。20年以上にわたり、英語教育の最前線で活躍する赤井さんですが、2020年に初めてTOEFL Primary® を親子で受験し、その際に感じたことをGC&Tウェブサイトへ掲載させていただきました。それから2年が経ち、息子さんは現在、小学6年生。親子受験をきっかけにどのような変化があったのか、親子で挑戦することの意味について、あらためてお話を聞きました。

—— 親子受験のきっかけや受験前の気持ちを教えてください。

 息子が小学4年生の時に、「今度、TOEFL Primary® を一緒に受けてみない?」と軽い気持ちで誘ったのがきっかけでした。多分、息子に「こういうテストがあるんだけど受けてみない?」と勧めても、彼一人では受ける気にならなかったはずです。でも、「一緒に」という言葉のおかげで、「いいよ」という言葉がすんなり返ってきました。やる気になってくれたことをうれしく思うと同時に、いざ受験するとなると私の方が緊張してしまいました(笑)。TOEFL Primary® のStep1ですからレベル的には大丈夫だと頭ではわかっているのですが、万が一失点してしまったら恥ずかしい、親としてのプライドもありますし、いろいろな感情が湧き上がりました。大人になってからあまり味わうことのない緊張感がとても新鮮だったことを覚えています。
 子どもと同じ土俵に立って挑戦することは、とても良い刺激になります。ただ「やりなさい」と親が一方的に勧めるのではなく、「一緒に挑戦する」という姿勢を見せることで子どもは心を開き、新たな一歩を踏み出せるのだと改めて感じました。実際に自分が参加する立場に身を置くことで、経験した人にしかわからないワクワク感やドキドキ感などを肌で感じることができました。

—— 実際に親子受験をしてみて、いかがでしたか。

 TOEFL Primary® Step1を親子で受験した時は、特に周到な準備をして臨んだわけではありませんでした。受験当日は、電車で移動する時間が長かったので、その時間を利用してGC&Tウェブサイトのサンプルテストにある問題を一緒に解きながら会場に向かいました。息子自ら「受けたい」と言って受験するわけではなかったので、あまり試験のための勉強をやらせ過ぎて嫌にならないように、できるだけ「受けさせられている感」を抱かないように心がけました。
 実際に受験してみると、息子にとって手応えと達成感を味わうことのできたテストだったようです。受験後の帰りの電車では、お互いの記憶をたどりながらテストの答え合わせをして盛り上がりました。「あの問題どうだった?」と私が尋ねると、「こういう理由でこう答えた」など、分析を交えた答えが返ってきて、言葉の端々に子どもの成長を感じることができました。親子で同じ英語のテストを受験するなんて初めての経験でしたが、共通の話題ができてとても楽しかったです

—— 結果が返ってきた後、息子さんに変化はありましたか

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 戻ってきたテストの結果を見て、息子はとても満足しているようでした。これまで私の主宰するNPO法人AEA(All Education Academy)のメンバーとして月1回、小学1年生から英語を使ったワークショップや外国人観光客へのボランティア活動などに参加してきましたが、実際に自分の英語力について、テストを受けて客観的に把握する機会はありませんでした。自分の英語力を具体的なスコアで可視化することができて、自信につながったと思います。彼の中で、TOEFL Primary® の親子受験は一つの成功体験になりました。テストを受けるタイミングも非常に重要だと感じます。
 そうして息子が手応えを感じているようだったので、さりげなく「Step2があるんだって」と話すと、「受けてみようかな」と前向きな答えが返ってきました。小学生ですから友達と遊んだりゲームをしたりする方が楽しい時期です。普段なら「試験なんて絶対に受けたくない!」と言う子だったので驚きました。親子受験が、まさに子どもが自ら動き出すきっかけになったと思います

—— 次のステップに向けて、息子さんはどのような英語学習をしていますか

 TOEFL Primary® Step1を親子で受験した後、息子は8か月後にTOEFL Primary® Step2、2021年12月にTOEFL Junior® を一人で受験しました。そのための学習としては、問題を解く時間配分をイメージするためにリスニングとリーディングの問題集を一緒に解いたり、一緒に答え合わせをしたりしました。一緒にやることでゲーム感覚というか競争心が生まれて楽しくできます。そのほか、Lexile® 指数をもとにどのリーディング教材がよいかを選び、課題として1日に1〜2チャプターを読むことを習慣にしています。息子は読書が特別好きなわけではないのですが、教材の中の読み物で、例えばマインクラフトなど、普段自分がゲームをやっている題材が出てくると興味を持って楽しく読んでいます。テストを受けるだけではなく、目標を達成するためにどんな方法や選択肢があるのか、親子で一緒に準備していくことも学びの一つだと感じます

—— 赤井さんが子育てをする上で大切にしてきたことは何ですか

 わが子には幼いころから世界を見せること、できるだけ実体験をさせることを心がけてきました。日頃からインプットとアウトプットの機会をバランスよく持たせることが大切だと思います。親子受験をきっかけにあらためて振り返ってみると、AEAのメンバーとして小学1年生から活動していたことは大きいかもしれません。AEAは、小学1年生から高校3年生までのメンバーで構成されているため、学年や学校、国を超えたさまざまな人たちと触れ合うことができます。先輩たちが、英語でプレゼンテーションをしたり、ボランティア活動に取り組む姿を見て、「あんなふうになりたいな」とか「英語が話せたらこんなことができるんだ」と感じることがあったり、逆に小学6年生になった今、低学年の子たちから憧れられる存在になったと、背筋がピンとする思いもしているはずです。小さな成功体験を積み重ねることで、自信と自覚が生まれ、もっと成長したいという気持ちが息子自身の中にも育っているのだと思います
 親の役割は、子どもに自信を与える場や経験をセッティングして、子どもの変化を的確に捉えて見逃さないことだと感じています。子どもは、大人が計り知れない無限の力を持っています。それを潰してしまうのはいつも大人だということを忘れずにいたいですね。親のエゴで「無理にさせる」ことだけはしないようにしています(笑)。

—— 親子受験を目指す方たちへメッセージをお願いします

 親子受験は、子どもにとてもいい影響を与えると思います。英語学習は生涯にわたって続けていくものです。「あなただけがやるのではなく、親だって頑張るんだよ!」という姿勢が伝われば、子どもも頑張ります。共通の話題ができ、親子の間にコミュニケーションが生まれるので、お互いの新たな一面や成長を見ることができます。一緒に学ぶことで“磨き合い”が生まれる点が最大のメリットだと思います。
 私の時代はTOEFL® しかなく、それはテストとしてはとてもハードルが高いイメージでしたが、今はそこにたどり着くまでに、一つ一つステップを踏むことができます。TOEFL Primary® やTOEFL Junior® は、英語が母語でない子どもたちが英語でコミュニケーションをとる力をつけるために最適なテストです。ぜひ親子でグローバルスタンダードなテストに挑戦してほしいと思います。できれば1回だけではなく長いスパンで親子受験を続けてほしいですね。そうすることで親子の関係も深まり確実に英語力が身についていくと思います。
 私も「TOEFL Primary® を親子で受けたよ」と話題にするなど、AEAで活動するお子さんのお母さま方への情報提供を心がけていますが、日本の子どもたちが世界に通用する英語力を身につけるためにもぜひ、このテストを活用してほしいと思います。親子受験の輪が日本中に広がるといいですね。

AEAについてはこちら
https://www.aea2016.com/

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