TOEFL Primary®導入で生徒の学びはこう変わった(中村中学・高等学校)

中村中学・高校は東京都江東区清澄白河にある明治42年(1909年)設立の女子校で、2016年からTOEFL Primary®を導入しています。同校外国語科の岡崎葵主任と佐藤恭太教諭に活用状況についてうかがいました。

※『英語教育』2018年7月号に掲載された記事を、2019年1月の情報に一部修正しました

中村中学・高等学校はどのような教育方針の学校ですか?

岡崎 「清く 直(なお)く 明るく」が校是です。3つのS(Self-control:わがままをおさえる、Self-government:ひとに迷惑をかけない、Social Service:ひとに親切をつくす)を生活目標としています。

佐藤 女性にとってさまざまなライフイベントが起こり始める「30歳からの自分」を考えるキャリア教育も特色のひとつです。リーダーとして発信すること、自分で考え必要に応じて修正できることなどコンピテンシー(総合変化対応能力)を培うことを大切にしています。

英語教育に関して重視していることは?

岡崎 葵主任
岡崎 コミュニケーションをとる力を育成することです。英語はそのためのひとつのツールとして位置付けています。特に英語を日常生活に結び付けて、自分のことばとして使えるようになることを目指しています。そのために他教科で学んだことを生かしたり、校外での活動で実際に英語を使う機会を設けています。
たとえば中学1年次に社会科の授業で実施した「深川めぐり」を基礎として、中学2年次に「国内サマースクール」を実施しています。「国内サマースクール」では外国人の方に深川について紹介する活動を行っています。中学3年次には京都と奈良へ修学旅行に出かけるのですが、現地でのフィールドワークを帰京後に英語でまとめるテーマ学習を実施しています。

TOEFL Primary® Step 1・Step 2はどのように実施していますか?

岡崎 中学1年生から3年生までの3年間、毎年8月と翌3月の年2回受験させています。高校で国際科に進学した生徒は、さらにTOEFL iBT®を受験します。

授業内外で何かテストの準備をされるのですか?

岡崎 TOEFL Primary® Step 1・Step 2は教科書で学んでいれば対応できる内容なので、特別に対策はとっていません。8月に受験する際は、夏期講習の最終日に設定しているので、夏期講習中に問題形式に慣れさせる機会はありますが、3月の受験については取り立てて準備は行っていないですね。

佐藤 TOEFL Primary® Step 1・Step 2は知識を問うタイプのテストではなく、英語の運用能力を問うテストだからでしょうか。学年に応じて、普段の授業とリンクした形で受けることができるようです。
現在、中学3年生を担当していますが、中学1年生でTOEFL Primary® Step 1を受験させた際にリスニング問題より、ややリーディング問題を苦手とする生徒が多かったので、その後の授業では英文を読み取って情報を得るような活動を増やしました。客観的に生徒の各技能の伸びを測ることができるので、それに応じた授業の見直しを行うことができますね。

岡崎 テスト結果が学校の定期考査の成績などと必ずしも連動していないのも興味深い点です。定期考査では成績がそれほど振わなくてもTOEFL Primary® Step 1・Step 2では好成績という子もいます。定期試験だけでは測れない力に気づくことができるのは良いですね。
結果が合否ではなくスコアで出る点も、生徒は伸びを実感しやすく、動機づけにつながっているようです。

TOEFL Primary® Step 1・Step 2の魅力はどのようなものですか?

岡崎 スコアのフィードバックがCEFRレベルで提示されるので、生徒が自分の英語力がどこに位置しているか理解しやすいところがいいですね。同時に、その生徒に適したLexile®指数も示されるので、朝読書で取り組んでいる洋書のリーディングの選書の目安としても役立っています。
また、本校の高校国際科では1年間留学するプログラムがあり、留学の前後にTOEFL iBT®の受験を必須としています。異なるテストではありますが、TOEFL Primary® Step 1・Step 2はTOEFL Junior® Standard、TOEFL iBT®と段階を追ってつながりがわかりやすい点も魅力でした。

TOEFL Primary® Step 1・Step 2の活用によって、授業・生徒にどのような影響がありましたか?

佐藤恭太教諭
佐藤 授業では4技能を総合的に指導することを意識していますが、TOEFL Primary® Step 1・Step 2受験を通じて4技能の根本となる英語運用力の伸びを図ることができると感じています。教員と生徒が客観的なデータを共有することにより、生徒も伸びを実感できるためか、授業中にもTOEFL Primary® Step 1・Step 2の設問について触れるとリアクションを見せています。

岡崎 女子中学生には、設問のイラストなどがかわいい、楽しい、というのも魅力になっているようです。全体にオーセンティックな雰囲気を与えるテストである点も好評です。

佐藤 設問の設定が生徒に身近な点もいいですね。自分も同じような経験をした、と生徒が共感していることもあります。

学校での団体受験に当たってなにか課題はありましたか?

佐藤 実施日や実施時間をどのように確保するかは試行錯誤しました。最初にマークシートの記入があり、その後、試験への解答、アンケート記入という流れになりますが、夏期講習の最終日に行った際は、授業時間の枠内で完了するのが少し難しかったです。定期考査の最終日に実施した際は時間が十分確保できたので、そのような設定だと一層やりやすいと感じました。

日頃の授業ではスピーキングにも力を入れていますか?

佐藤 普段の授業から本を読んだり、声に出すことをずっとやってきています。日本人教員とネイティブ教員とのチームティーチング(TT)がありますが、1対1で話す機会をつくってあげた方がいいと考え、TTのときは待っている生徒は日本人教員の監督のもとで課題に取り組み、もう一つの部屋でネイティブ教員と話す時間をつくっています。

TOEFL Primary® Speaking の実施の感想は?

佐藤 生徒に聞いてみたところ、「スピーキングには抵抗がなくなった」、「日頃から1対1で話す訓練をしているので話すことにためらいはなかった」と明るい表情で話してくれました。普段の授業や取り組みから、話すことへの苦手意識が低く抑えられているようです。

試験実施の環境については?

佐藤 スピーキングテストの形式はCBT(Computer Based Testing)となりますが、本校ではタブレットを全員が所持しているので、スムーズに試験が実施できました。

今後、TOEFL Primary®導入を検討されている先生方にメッセージがあればお願いします。

岡崎 通常の教科書の授業以外に、受験にあたって特別な指導を行わなくてよいので、教員・生徒双方にとって負担が少ないテストだと思います。普段行っている授業を補足できるようなアウトプットの機会として活用できるのもうれしいですね。TOEFL iBT®受験に関して心理的な抵抗が少なくなるのも生徒にとっては有利だと思います。