学校図書館が子どもと本をつなぐ架け橋に~Lexile®指数を活用し、子どもたちへちょうどの本を~(LCA国際小学校/神奈川県)

2020年1月23日作成

神奈川県相模原市のLCA国際小学校は、世界を舞台に活躍できる子どもたちを育てることを目指し、コミュニケーション手段としての英語教育に力を入れています。インプットの質が、アウトプットのレベルに直結するとの考えから、英語図書の多読推進活動も積極的に展開、生徒一人ひとりに合った本選びを実践しています。Lexile®指数を活用したその取り組みについて、山口学園長と司書の宇田先生にお話を伺いました。

LCA国際小学校の教育方針、特徴をお教えください

山口紀生学園長
山口学園長:日本人であることを大切にした上で国際感覚をもった子どもを育てていきたいと考えています。将来、グローバルに活躍するためには英語力は大切なバックボーンとなりますので、英語教育にも力を入れていますが、英語はあくまでコミュニケーションの手段です。幅広い可能性をもち、豊かな人間性を身につけていくには、子どもたちの個性を大切にし、自己肯定感を高めることが重要です。ですから本校の成績表には、子どもの良いところしか書かないようになっています。どの子どもも輝き、人生は楽しく素晴らしいものだと感じて伸びていけるようにとの思いがそこにはあります。また、きちんと自分のやりたいことを選び、主張できるような子どもを育てることも大切だと考えています。そのためにも、個性を認めて伸ばす教育がカギとなります。人間的な幅を広げていくには、勉学と並んで自然体験や芸術に触れる活動など質の高いさまざまな経験の積み重ねは欠かすことができません。英語についても、学習教科という位置づけだけではなく、自分の世界の広がりにつながるものとして身につけていってもらいたいと願っています。多読を推進しているのも、本を通じて体験できることが子どもたちの成長に大きな役割を果たすと考えているからです。

多読の推進においてLexile®指数の活用事例をご紹介ください

山口学園長:本校では2017年から小1~小3対象にTOEFL Primary®、小4~小6対象にTOEFL Junior®を実施しています。英語力をスコアで把握できることや、スコアが世界的に汎用性の高いものであること、適切な内容などがTOEFL®を導入した理由です。そしてスコアだけでなく、Lexile®指数がわかるというのもこのテストの魅力の一つでした。自分の読書のレベルが客観的に示されるというのは、本選びの大きなサポートになります。
自分で楽しく本が選べる図書館
宇田先生:本を薦めるにあたって、本のレベルの分類は大切な要素です。Lexile指数®によってそれが明確になり、図書館の本をレベルごとに色分けすることができました。子どもたちは自分のLexile指数®がわかっていますから、本の色分けを見て自分自身でちょうどいい本を選ぶことができます。また、子どもたちが本を選択するお手伝いをする際にも、Lexile®指数が手がかりになります。中には、見た目の印象から「この本、難しそう…」と躊躇する子どももいますが、そんなとき、レベル分けの基準がありますから「あなたのレベルならこの本は楽しめると思うよ」と薦められるので、子どもは安心して本に挑戦することができます。

学校図書館では生徒さんとの対話を大切にしていらっしゃるとか

宇田先生:本校の校風として、自分のことを主張できる子どもたちが伸び伸びと育っています。ですから本の貸し借りのときにもたくさんのやり取りがあります。「この本おもしろかった!」と返してくる子には、どこがよかったとか、好きだったところを尋ね、こちらがメモをとるようにしています。子どもの目線からの本の評価を大切に書き留めて、同じ本を別の子どもに紹介するときのヒントにしているんです。
山口学園長と司書の宇田先生
本の内容を把握することは、読書のサポートでは欠かすことができません。さらに、一人ひとりの子どもの状況を知っているのも大切なことだと考えています。子どもたちとの対話を通して、今どんな状態なのかを察した上で、易しい本をたくさん読むことを薦めたり、ちょっとチャレンジングな本を提案したり、その子の今にとってちょうどいい本との出会いをサポートできればという思いで取り組んでいます。図書館を預かる立場として、何でも言いやすい関係をつくることを心がけていますので、生徒たちだけでなく、時にはお迎えに来られた保護者が立ち寄って、ご家庭での読書の様子を教えてくださることもあるんですよ。本の選び方がわからないという保護者からのご相談にも、Lexile®指数を参考にしてみてくださいとお伝えしています。

LCA国際小学校が目指す教育の実現に読書が果たす役割についてお考えを聞かせてください

山口学園長:英語教育のゴールは、英語でディスカッションができるようになることだと思っています。自分の意見を英語で言える子になってほしい。そうした「話す」というアウトプットの力を支えるものとして重要なのが質の高いインプットです。本校は実体験を重ねることを重視し、アウトドア活動や芸術との出会いにも力を入れていますがそれらはすべて子どもたちの人間形成の要素として積み重なっていきます。読書もその要素の一つです。自分が実際に見聞きするものとはまた違った、スケールの大きな体験ができるのが読書の大きな効用といえるでしょう。本をたくさん読んでいれば思考レベルが深まり、また、実体験が多ければ読書で得られるイメージもさらに大きく膨らみます。読書も含めて質の高い経験をたくさん得て、人として豊かに育ち、ゼロから何かを創造できるような人間を育てていきたいと願っています。
図書館を楽しんで活用しているLCA国際小学校の皆さん
「絵がきれいな英語の本が今は一番のお気に入りです」
「せっかく図書館におもしろい本がいっぱいあるからたくさん借りた方がいいと思います」
「本が大好きで日本語でも英語でもどんどん読んでいます」
わくわくする宝物に出会える図書館
いつも笑顔でいっぱいです