「英語を何のために、どう使うのか」考えて、創造し、問題解決できる子どもたちを育みたい AEA代表理事 赤井由紀子さん

2020年7月10日作成

NPO法人AEA(All Education Academy)を主宰する赤井由紀子さんは英語教育の最前線で20年にわたり活躍してこられています。現在は埼玉県熊谷市を拠点に、外国人と交流する活動を中心に地域の子どもたちに英語を使った国際交流の機会を提供、また「次世代を担う君たちへ」というテーマで中学校、高校での講演会活動も展開されています。英語をキーワードに、幅広い年齢層の子どもたちに、チャレンジの機会を提供し続けている赤井さん。この度、TOEFL Primary®を小学生の息子さんと一緒に受験したご感想とともに、AEAでの活動を通した英語教育への思いをお聞きしました。

―AEAの活動をお教えください

さまざまな学び・体験を通じて、考える力・創造する力・問題解決する力を身につけていくグローバルキッズを育てる取り組みです。
「世界中のどこででも生き抜く力」がある人材育成を目指した体験型課題活動に力を注いでいます。具体的には、英語を使ってコミュニケーションにチャレンジする「世界とつながるオンライン教室」と「ロボット&プログラミング教室」、英語教室を運営しています。私自身、英語教師の経験を始めとして、英語教育には20年間携わっていますが、教育現場での実体験から、将来の日本の社会を担う子どもたちに必要なのが、最初に挙げた「考える力・創造する力・問題解決する力」の3つだと考えています。これからの子どもたちが社会のために役立つ生き方を追求し、一人一人にあった幸福な生き方の選択ができる社会の担い手になってもらいたいという強い願いから、これからの時代を生きていくのに必須となる教育プログラムを提供しています。

―活動を通して出会った子どもたちには、どのような変化・成長が見られますか

子どもたちは適切な「場」を提供すれば、自主的な学びにすぐに反応してくれることを、日々実感しています。伸びたいという力は、どの子どもも持っているのです。周囲の大人は、このことを信じて、子どもが自ら学んで成長するのを待つ姿勢、見守る姿勢が必要です。こちらの役割は子どもに自信を与える場や経験をセッティングして、子どもの変化を的確に捉えて見逃さないことですね。
さまざまな体験で自信をもつ機会を与え、伸びたいという力をもつ子どもの変化を見逃さない
たくさんの変化・成長に出会える活動の中でも、特に印象的だった事例がありました。あるお子さんのケースですが、文字認識が苦手でコミュニケーションが少し難しい状態でした。それでも、AEAの活動に参加するようになった二年目、外国人に熊谷の町を案内する活動をしているときに、偶然クラスメートに出会ったんです。その際、その友だちを外国人に英語で紹介することができました。その姿に、友だちも周りもとても驚きました。ふだんとは違う、堂々と英語を使う姿を見せ、友だちには「あなたは(あのとき)輝いていた」と感心されたんですね。それはそのお子さんにとって大きな自信になりました。保護者の方も、私たちスタッフも、うれし涙を流したエピソードです。それ以来、自信と自覚が出たそのお子さんは、今では低学年の子どもたちの面倒をみるメンターにまで成長しています。
成功体験が子どもを大きく変え、そのことが大人を含めた周囲に影響を与えることを実感した出来事でした。

―英語学習で大切にされていることは、何でしょうか

ポイントは、英語を使って何をするのか、を子どもたちにつかんでもらうということだと思います。英語の習得には時間も努力も必要なので、楽しさに加えて、何のために英語を学ぶのか、という意識がとても大切です。学年が上がるにつれて、この目的意識を育てることが重要になってきます。英語に楽しく取り組むためには、経験のあるサポーターと、一緒に磨き合える仲間がいることが欠かせないでしょうね。仲間の存在は、モチベーションの維持向上にとても役に立つと考えています。仲間同士で刺激を与えあいながら学んでいけるのが、学校や教室での学習で実現できることです。
「世界とつながるオンライン教室」は多くの子どもたちが参加
2020年は本来はオリンピック開催に合わせて、埼玉県を訪れる外国人の接遇を課題活動のテーマにしていました。それが延期となり、活動の方向性を一時考えあぐねていた時期もありました。そんな中、子どもたちから、「今までとは違う活動を考えよう」「オンラインでも何かができる」と意見が出てきたんです。そして形になりつつあるのが「オンライン世界一周」です。これは、北米、オセアニア、アジア、中東、ヨーロッパ…と各地域の、オリンピック、パラリンピック選手、関係者に子どもたちが自らコンタクトを取り、自分たちが(コロナ収束後)みなさんの来日を待っていることを伝えるというセッションです。子どもたちにとっても、仲間の存在がアイデアと行動を生み出す原動力になり、あきらめない気持ちや、英語を使って挑戦してみよう、という気持ちが育っています

―小学生の息子さんと一緒にTOEFL Primary®を親子受験されました。いかがでしたか

わが子にも、幼いころから世界を見せること、できるだけ実体験をさせることを大切にしてきました。まだ小学生ですから、やってきたことの結果を急いで期待してはいませんが、インプットとアウトプットの機会をバランスよく持たせていければ、と考えています。その点で、TOEFL Primary®を受験したことは、とても良い機会になりました。
このような優れたテストが日本で受けられることは貴重だと感じました。私自身は今まで、このテストの存在は知らなくて、TOEFL®は英検2級以上ぐらいのレベルまでいかないと受けられない、遠い目標だと認識していました。TOEFL Primary®のようなテストは、その遠い目標までの期間にステップを刻むことができるので、とても良いですね。
このテストを受けてみて、臨場感、英語を使う現場で求められる力のアウトプットにポイントが置かれていると感じました。さらに、状況を類推したり考える力も問われていて、問題がよく考えて作られていますね。わが子にとっても印象的なテストだったようで、受験した帰りの電車の中では、テストについて、自分はこう思ってこう解答した、などと内容をよく覚えていて、親子で答え合わせをしながら盛り上がったんですよ。親子で同じ英語のテストを受験するなんて初めての経験でしたが、共通の話題が広がりましたし、「こういう理由だから答えはこうだ」と分析ができていた所など、親としてわが子の成長を感じることもできる機会になりました。
息子は今回、TOEFL Primary®のStep 1を受けて良いスコアが取れたことで、今までやってきたことへの手応えになったようです。受験してスコアレポートを受け取ったことが自信になったんだと思います。次のStep 2にも挑戦したい!と言っています。
日本でこのようなテストが広く受けられるようになることで、英語学習への取り組みにもよい影響があるのではないでしょうか。英語教育に携わる立場としても、日本の子どもたちの英語力向上にますます活用してほしいテストだなと思っています。

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https://www.aea2016.com/

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