テスト終了後には生徒から楽しかったという感想も

 グローバル化と共に、日本の英語教育も大きく変わりつつあります。文部科学省は、検定試験を活用した児童・生徒の英語力の検証を提唱していますが、その英語力の評価もグローバル化に伴い世界基準の指標を使うことが求められます。

 TOEFL Primary®は、世界最大のテスト作成・評価機関であるアメリカのETS(Educational Testing Service)が、英語の初級学習者(小・中学生)向けに開発した英語のコミュニケーション能力を測るテストです。グローバル社会で必要とされるコミュニケーション能力の到達度を、リスニングとリーディングという初級学習者に重要な受容能力を中心に測ることができます。日本では2014年から始まり、現在では世界47カ国以上(2017年現在)で実施されています。TOEFL Primary®は、アメリカの大学・大学院への留学試験や、最近では日本の大学入試でも活用されているTOEFL®テストの小・中学生版です。テストの特徴の1つは、テスト結果が合格・不合格ではなく得点(スコア)で示されることです。そのため、子どもたちの現時点でのコミュニケーション能力の到達度を客観的に知ることができます。さらに、結果とともに返されるスコアレポートには、到達すべきコミュニケーション・ゴールに照らして、子どもたちは「何ができるのか」「次のレベルに進むためには何が必要なのか」が記述されます。加えて、CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)に対応した測定結果も表記されるため、世界基準で英語力が評価されます。

 私は現在、秋田県のある公立小学校を拠点に、より効果的な英語の授業方法について研究を進めています。子どもたちのコミュニケーション能力の伸びに指導がどれだけ効果的かを測るために、その小学校では6年生の児童が年間3回TOEFL Primary® Step 1・Step 2 を受けています。子どもたちは全て英語で書かれたテストに最初は戸惑っていましたが、家族や先生・友達など身近な人たちとの会話がテストの主な題材であると分かると、テスト終了後には「楽しかった」という感想も述べていました。テストを受けることで、子どもたちの英語に対する興味や関心も高まっています。「英語を読むことが楽しくなりました」と言っていた児童は、休み時間に教室に置いてある英語の読み物を積極的に読んでいます。TOEFL Primary® Step 1・Step 2 では、スコアレポートの中で、Lexile指数という国際的な指標を使い、子どもごとに最適なレベルの英語の本のアドバイスもしています。児童だけでなく、担任の先生もテストによって英語指導に対する意識が変わりました。テスト問題の中に、教室内での先生と児童の会話が多く含まれていることもあり、英語のコミュニケーションを身近に感じるようになったそうです。「子どもたちが頑張っている様子を見て、自分も努力しなければいけないなと思いました」と話し、英語表現を少しずつ覚え、今ではほぼ英語で授業を行っています。

 TOEFL Primary®は世界基準の指標ですが、子どもたちの身近なコミュニケーションを題材にしているため、小・中学生のコミュニケーション能力を測るには最適です。日本の英語教育も、「どれだけ覚えたか」よりも「どれだけ使えるか」が問われる時代です。グローバル社会で求められるコミュニケーション能力の習得に向けて、子どもたちだけでなく先生方にとっても、今の到達度を示してくれる良きパートナーといえるテストだと思います。