TOEFL Primary®テスト開発者メンバー Mitch Ginsburgh氏インタビュー

世界に広がるTOEFL Primary®テストですが、
テスト開発の際に、各国のカリキュラムを参考にしましたか?

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TOEFL Primary®テストの開発にあたっては、英語学習の有無を問わず、テスト対象年齢となる8歳以上の子どもたちの学習経験を反映させる、ということを重視しました。初期に参考にしたカリキュラムの資料のなかには、もちろん日本のものもありましたよ。東アジア、東南アジア、中東、ヨーロッパ、さらには南北アメリカのカリキュラムも検討しました。
私たちの目標は、これらのカリキュラムの共通の特徴を明らかに、この年齢層の子どもたちの初期英語能力の開発において中心となる目標について、制作メンバーで検討を重ねることでした。

事前に調査された各国の英語教育のカリキュラムは、
そのレベルに大きな違いや差がありましたか?

英語指導のモデルや経験は本当にいろいろあります。学校で英語学習をスタートさせる時期も国によって異なります。
より小さな子どもたちは英会話を好む傾向があり、教室にある物の名前を学んだり、歌を歌ったり、ゲームをしたりするなかで英語に親しむことが多いです。学習意欲を高めるには、これは素晴らしいやり方だと言えます。
英語学習の期間が長くなったり高学年になったりすると、生徒は一人で英語の文章を読み始め、書かれていることや聞いたことの概要を理解する学習に移行します。話すときには、より詳しくより正確な表現でストーリーを説明できるように指導していきます。
世界中で色々なカリキュラムがあるのですが、このようなプロセスは共通していると思います。

テストの開発に何人のスタッフが関わりましたか?

テスト開発のプロセスにはいろいろな専門分野の50人以上のメンバーが関わっています。例えば、応用言語学、心理統計学、初頭英語教育、外国語教育、グラフィックデザイン、声優、プロジェクト管理、事業開発、情報技術など、実にさまざまな人がかかわっています。

スタッフメンバーのバックグラウンド(専門分野やそれまでの経験など)は?

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TOEFL Primary®テストの開発と管理には、Educational Testing Service(ETS)のあらゆる分野が協力して当たっています。私の所属している研究開発部門では、外国語教育、応用言語学、出版、カリキュラム開発のメンバーがいます。ほかのTOEFLファミリーのテストを含む、テスト開発のバックグラウンドを持つスタッフもいます。メンバーは、英語だけでなく、フランス語、ヘブライ語、イタリア語、日本語、韓国語、北京語、スペイン語、スワヒリ語を話す人達がいます。色々な言語的な背景がありますが、テスト開発について話し合うときは、もちろんみんな英語を話しています。

テスト開発のために、専門チームや専門部門を設置していますか?

テスト開発に関してはテスト開発のメンバーが9人です。これに加えてテスト開発管理チーム、研究開発チームもサポートし、TOEFLファミリーのテストの一貫した分析と開発に努めています。この他、若年層向けのテストや英語テストの分野における一流の学者で構成される外部委員会と定期的に会合を開き、何度も討議を重ねてきました。新しくできたテストや、研究の状況についても、この委員会のメンバーと常に見直しています。

何カ国でパイロット版のテストを実施しましたか?
そして何人がこのパイロット版のテストを受けましたか?

世界20カ国もの国で、リーディングとリスニングについて3つのプロトタイプテスト(原型になるテスト)を実施しました。そのほか、パイロットテスト、フィールドテストと実施してきました。
(パイロットテストとは…テスト開発において、それぞれおよび相互のテストアイテム(問題)が測りたい能力を測定する上で、有効かどうかを実際の対象受験者にて事前に実験を行うこと。
フィールドテストとは…:パイロットテストの後に、有効だと判断されたアイテム(問題)が、対象の受験者が想定どおりの反応(解答)を示すものかどうかを対象受験者にて事前に実験を行うこと。)
世界中で、約5,000人もの子どもたちがTOEFL Primary®のリーディング/リスニングのテストをました。

初期のパイロットテストでは世界各地の学校を訪問して先生と会って、インタビューを行い、子どもたちが何を学んでいるか、そして先生にとって何を大切にしているかを聞きました。世界中のパイロットテストやフィールドテストに参加してくれた国から、先生の答えを聞くことができました。実は今も、テストの形式について先生たちからフィードバックと情報を聞きながらテスト開発にあたっています。

テストをリリースする上でクリアするべき基準や要件はありますか?

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生徒のスコアを判断できるようなテストを作成するには、すべてのテスト問題について事前のテスト、またはフィールドテストを行わなければなりません。さらに、テスト形式の統計的特性を調べ、そのテスト形式を進める前に統計分析グループのチェックを経る必要があります。
そのため、個々の問題は、注意深く適切に作成するだけでなく、世界中の先生や保護者が求めている、英語能力に関する情報を提供できるようにテスト形式全体の構想を練らなければなりません。新しい事前テストの問題の開発プロセスは、TOEFL Primary®テストでもTOEFLファミリーのその他のテストでも同じです。内容を何度も見直し、さらに3~4人のテスト開発者で構成されるグループで、多くの問題を見直します。ETSテストのすべての資料やその他の出版物について、公平性を担保するガイドラインに照らして見直します。このガイドラインは、世界で最も詳細で、包括的なガイドラインのひとつだと思います。そのほかにも、テスト全体の形式、筆記試験のフォーマット、コンピューターテストのプログラミングなど、さまざまな側面を見直します。

国際的なテストとして幅広く採用されるために、テストのテーマ、単語、イラストなどを受験者の文化やバックグラウンドにどのように合わせていますか? 

これは、テスト開発において非常に重要な点です。新しいテスト問題を見直すたびに「このテーマは対象としている年代の子どもたちに適しているか?」「リーディングやリスニングの内容を簡単にしている(または、難しくしている)単語はどれなのか?」「写真や絵に描かれている子どもはTOEFL Primary®テストの受験者の多様性を反映しているか?」「問題の指示文は、子どもたちや初めてテストを受ける生徒が理解できるものか?」世界中で使われるテストですから、私たちはテストを受ける子どもたちの多様性について、日々考慮しています。

テストが使われるようになった後は、問題の妥当性をどのように検証していますか?

事前のテスト向けの問題を作成したら、そこから得られる統計情報を調べて、今後のテスト形式に含めるのに適切かどうかを評価します。例えば正確に解答した学生の割合だけでなく、あまり英語が得意でない子どもたちのグループ、高い英語力を持つ子どもたちのグループ、似たバックグラウンドを持つ子どもたちのグループなど、さまざまなグループの解答の状況を比較、分析して、問題が適切か調べます。テスト問題の「改行の場所」であっても細かく検討をして作り上げていきます。

TOEFL Primary®テストの、他のテストとの大きな違いは何ですか?

TOEFL Primary®テストは、どこかの国の、特定のカリキュラムと結びついたものではなく、単語をいくつか理解しているレベルから、子どもたちに適したアカデミックな文章の理解に至るまで、広範囲の能力をテストするものです。私たちETSの長年にわたる研究開発プロセスを経て、こうした広範囲の能力を世界基準で評価できるテストを開発することができました。 リーディングとリスニングのテストの解答時間はいずれも1時間未満であり、子どもたちの受験者に適した設計になっています。

TOEFL Primary®は、リーディング、リスニングのスキルによって有意義なコミュニケーションを図る能力をテストします。つまり、単にどれだけ覚えているかではなく、英語を実際に、有効に活用できているかを子どもたちに示してもらう、そんなテストです。

MitchさんはETSでテスト開発をする前は、どんなことをされていましたか?また、これからの展望も教えてください。

私は、かねてから教育について大規模な変革をはかりたいと考えていたため、大学では教育政策と応用社会科学を専攻しました。ETSに参加する前は、教科書の出版の仕事をしてきました。これまで、英語学習に携わる仕事をしてきました。
ETSで働いて、テスト開発に携わるようになり、「教育について変革をはかる」という目標を実現することができたと思っています。 実は今年は、興味深い調査と開発をいくつか企画中です。先生たちがTOEFL Primary®のスコアレポートを最大限に生かして、その情報を使って子どもたちの英語能力を伸ばすことをサポートできるように、私たちは協力していきたいと考えています。
特に、英語が得意な子どもたちも、まだ得意ではない子どもたちと、両方指導している先生にとって、TOEFL Primary®テストがどのように役立つかに関心を持って、日々研究開発にあたっています。